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IMPERATOR


インペラトル(imperator)

 

 

 

 

 

それは古代ローマにおいて最高権力者を表す称号であり、

 

皇帝すなわちエンペラー(emperor)の語源ともなったこの言葉は

 

絶対的な“権威”そのものといっていい。

 

 


ここロイヤルスクール・オブ・エバーグリーンにおいては

 

一年に一度発表される最も輝ける寮ということになろう。

 

 

各寮の生徒たちは他寮に先んじて評価を上げ、

 

その頂に彼らの長を掲げる。

 

 

いずれ格付けされる世界で生きていく彼らが

 

初めてその経験にさらされる舞台ともいえるわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ・・・・・・

 

 

 

 


いつものオープンキャンパスの風景とはいえ、

 

あれだけの数のゲストを案内するのは骨が折れますね・・・

 

 


この学園の運営は国家からの補助金と、

 

貴族や資産家からの寄付金、

 

そしてその資産をフェローが管理運用することによって成立しています。

 

 


そのため多くの政治家や資産家をはじめ、

 

進学を控える子女を抱える多くの保護者が、

 

我が子の、ひいては家の将来を賭すに値する学び舎であるか

 

見極めるために見学に訪れるのです。

 

 

 

当然ホストである私たちには

 

最高のおもてなしを実践する義務があるのですが…

 

 

 

時には想定外の事象が生じる場合もあります。

 

 

 

 


オープンキャンパスの当日にシルフィードの監督生である

 

Mr.ケスラーとMr.グラツィアーニが

 

諍いを起こすという事件がありました。

 

 


今年度のインペラトルの称号を獲得したシルフィードが

 

このような醜態をさらしてしまうとは・・・

 

穏やかではありませんね。

 

漏れ伝わるところでは、

 

どうやら、第3寮アンディーンが絡んでいる様子…

 

 

寮長のMr.クーベルタンと副寮長のMr.ベラルディが仲裁に入ったものの、

 

後々に禍根を残さなければよいのですが・・・

 


これから新しい学期が始まるその大事な時期、

 

各寮の動きが活発になるやもしれません。

 

 


もちろん、

 

アピール競争だけでなく、

 

足の引っ張り合いなども含めて…

 

 


それぞれの事情、

 

それぞれの流儀、

 

そして、それぞれの思惑、

 

 

それらが絡み合って何が生み出されるのか・・・

 

 

 

ゆっくり見ていくことにしましょう。

 

 

 

 

 

18:00 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
Silence

 

 

 

 

 

 

 

―――静寂―――

 

 

 

 

 

 

 

耳に響くような静けさ

 

 

 

 


就寝前の校内の巡回


いえ、

 

ただ眠れぬ刻を紛らわしているだけなのですが…ね。

 

 

 

夏休みに入りほとんどの生徒が帰省し

 

静かな学び舎。

 

 

 

窓から鳥や虫の声がはっきりと

 

距離や場所まで分かるほどに聞こえているのは

 

この学園があまりにも静かだから…なのでしょう。

 

 

 


まるで

 

忘れ去られた遺跡に迷い込んでしまった旅人のように、

 

時間が止まったような錯覚に陥りそうになります。

 

 

しかしながら

 

この静謐な空間の住人は私だけではありません。

 

 

 

再来週に開催されるオープンキャンパスの

 

準備を担当している生徒達もまた然り。

 

 

まあ、

 

彼らは昼の住人なのですが。

 

 

 

 

 


ギシッ…

 

 

 

 

 

 

ふむ…

 

薄暗い闇の中で

 

蠢く人影・・・

 

 

 

 

 

 

 

ギィ・・・

 

 

 

 

 

 


バタン・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら彼らの中にも

 

夜の住人がいるようですね。

 

15:00 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
Recalling the old days


蒼蒼たる夏草の爽やかな香り

目に映える新緑の鮮やかな輝き

頬を撫でる風と浅瀬のせせらぎは心地よい調べを奏でていて…




皆さん、ごきげんよう。

私はドナルド・エイブ・クレメンツ。

この学園ザ・ロイヤル・スクール・オブ・エバーグリーンの理事長を務めています。



さて、現在私が立っているのは資料室。

長い歴史を誇るこの学園の全てが記録されています。

そう、この空間そのものが、 この学園の“記憶”といっても過言ではありません。



今、私がふと手にした古びたアルバム。

−−−−−−ふむ…13年前の記憶ですか…



さあ、紡ぎ続けられてきた記憶の糸を辿ってみることにしましょう。
13:00 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
suspicion


窓際の金木犀が不規則に揺蕩う夕刻

僅かに開いた窓の隙間を押し広げるように入り込む涼風

波立つカーテンを押し伏せながらあの日の出来事を振り返る。




滞りなく平穏に開催されていたドミトリー・ヴィジット


響き渡る叫喚

散乱するティーカップ

喉をかきむしるMr.ジェファーズ




ドクターの見立てでは

「既に症状は落ち着いたもの、数日間の安静を要する。」

との診断が出ました。




彼の周りの人間関係

生徒同志の諍い

学園を去ったMr.ダウズウェル




生徒たちの間では様々な謀略論が巻き起こり、

興味本位の噂話が独り歩きしているようです。



しかし、当学園としては確たる証拠がない以上

この騒動を何者かの謀り事と結論付けるわけにはいきません。



徒に騒動を大きくすることは

更なる猜疑の種を振り撒くようなもの。




原因が特定できない現在のところは

『食中毒』ということで、

ジェファーズ家に御報告する事になるでしょう。





---自然でない行いは、自然でない混乱を生むということ---


・・・マクベスの一節でしたか。




さて、彼の様子を見に行くとしましょう。


 
16:00 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
キンモクセイ


つい最近まで強かった日差しがすっかり翳りを見せ、

ゲーブルウィンドゥからから吹き込む風が季節の変わり目を教えてくれます。



この変化にはまだ慣れませんね・・・



そんな中、窓際に飾られた金木犀の甘い香りが

穏やかならぬ気持ちを落ち着かせてくれます。



机の上に置かれた一通の招待状。


今年もやはり一番乗りはサラマンダーでしたか――


年に一度、一般の方々が寮内を自由に見学できる

ドミトリー・ヴィジット。


この行事は各寮長および寮監の采配で日程を決定します。



我が学び舎は全寮制ではありますが、

普段は各生徒が許可なく他寮に出入りすることを禁止しています。


実務的な理由としては揉め事を未然に防ぐことなのですが、

体裁としての理由は各寮が連綿と受け継いでいる歴史への敬意。


その敬意は単なる帰属意識以上に

生徒たちが持つ矜持をより強固なものに変えているようです。


それは彼らの今後の生き方にも繋がってくる要素となるでしょう。




金木犀の花言葉は謙虚、気高い人、初恋、陶酔、そして真実。




フッ・・・

さて、お茶にしましょうか。

 
15:00 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
Selection




                     ピィーーーー






                                        ピィーーー








アマツバメが集まってきたな・・・


ん・・・あれは・・・ハチクイか・・・この辺りに入ってくるとは珍しい。

この学園の薔薇園でせっせと働くミツバチか

マルハナバチを追ってきたのでしょうか・・・



この時期のハチクイは繁殖期にあたるため、

雄たちは雌の気を惹こうと美しく輝くその羽をこれ見よがしに羽ばたかせている。




『翼を広げて自由に大空を飛び回れる鳥が羨ましい。』




そう仰る方もおられますが・・・


自由・・・?果たして鳥は自分を自由だと思っているのでしょうか・・・?




渡り鳥であろうと留鳥であろうと、

その行動にはそれぞれの規則性が存在しており、

彼らは決して好き勝手に飛び回っているわけではありません。


効率よく食糧を得るため、外敵から逃れるため、

そして繁殖を行うために適者生存と淘汰を繰り返し、

何千年何万年と環境の変化に対応して、

蓄積された記憶を深層に刻み込み受け継いできたのです。


それが何故かは神のみぞ知るところですが。





さて・・・オープンキャンパスを終え、学園内が騒がしくなってきましたね。

何やらイレギュラーな事象が生じたようです。


あれは確か、第二寮シルフィードのMr.ベラルディが飼育していた鳩・・・

ブレッザといったか・・・



学園の品位を落とす行為に対しては厳しく対処していくのが道理。

しかし、若者は往々にして過ちを犯してしまうもの。


雁字搦めに縛ってしまうよりも自立を促した上で、

彼らがどう“環境の変化”に対応していくのかを注視することにしましょう。




まずはどう翼を羽ばたかせるかを考える前に

どう卵の殻から抜け出せるかを考えるべきでしょう。



生まれようとするならば、

それまで自らを守ってくれていた一つの世界を破壊しなければなりません。




彼らはいずれ・・・より厳しい世界に巣立っていくのですから。

 
15:30 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
evergreen



  キィー

      キィ

              キィー





あれはチョウゲンボウ・・・

ふむ・・・いや、クロウタドリか・・・


コマドリも来ているな・・・・・







日に日に強さを増す日差しが幾重にも連なる緑に逞しさを与えていて。


鳥の羽音、虫の声、全てが生き生きとしたリズムを刻み、

窓から見える景色は、さながらモノクロームだったキャンバスに

原色の絵の具を描き殴らせたかのような躍動感を感じる。


それに触発されているわけではないだろうが、

生徒たちの顔つきも日に日に逞しくさを増しているような・・・





・・・っと、失礼。


私はこの緑あふれる学園、

ザ・ロイヤル・スクール・オブ・エバーグリーンの理事長

ドナルド・エイブ・クレメンツと申します。


同じく理事長を務めている姉妹校である

ザ・ロイヤル・スクール・オブ・ウェントワースで

お会いしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。


こちらは男子校であり、学園内は五つの寮に別れています。

それでは各寮をご紹介しましょう。



火を司る第一寮サラマンダー

風を司る第二寮シルフィード

水を司る第三寮アンディーン

土を司る第四寮ノーム

天を司る第五寮イーサー



生徒たちはそれぞれの寮に所属し、

近い将来この社会の一翼を担う紳士たるべく日々研鑽を積んでいます。




よろしかったら貴方もこの学園にいらっしゃいませんか?

幸い再来週にはオープンキャンパスが開催されます。


例年であれば3月に開催しているのですが・・・

今年は敢えてこの時期に。



・・・えぇ、いつもの気まぐれかもしれません。

今年は珍しく転入生もいることですし、ね。


各寮の生徒たちも彼是と知略を巡らせている様子・・・



それでは皆さん、再来週に此処でお会いしましょう。

 
14:30 理事長 ドナルド・エイブ・クレメンツ comments(0)
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