| PR | EN | CO | TR | CA | AR | LI | RE | OT |
muddy the waters

 

冗談か本気か

 

 

本心を読ませない表情、声音。

 

 

 

だが、冗談などでは無い事はすぐに解った。

 

大して目も通さずに膨大なリストをすぐさま暗記し

 

自分の持ち得る情報も交えて推測する。

 

人の上に立つ人間はそう為るべくして生まれてきた…と

 

感じざるを得ない。

 

 

 

 

 

それから…

 

グラツィアーニ先輩とクーベルタン先輩の件。

 

第三寮シルフィードの、監督生と寮長か…

 

柔和な微笑みを浮かべながら話すその真意は


きっと私の及ばない所で起きている事象であろう事は判るが


酷く愉しそうで何か…一抹の不安を感じた

 

 

 

 

 

 

だが、何より

 

 

まさかあの場で、

 

 

  ――クリームヒルトの婚約披露パーティーが
我が家で開催される

 

 

言葉がじわじわと

 

 

 

  ――君が相手なら、良かった

 

 

 

一滴また一滴と染み込んでいく

 

 

 

  ――今なら、まだ間に合うよ、リシャール

 

 

 

 

 

ローレンツに真意など在って無いようなものだ。

 

 

ただ、その言葉には偽りがない。

 

それが恣意的なこともあれば

 

時に意図的なこともあるというだけで、

 

いつの間にか彼の操る言葉の糸に絡めとられている。

 

 

 

 

 

 

 

心を一歩外に置く事

 

 

 

ローレンツとリシャールとしてではなく

 

 

第一寮アンディーンの寮長、そして副寮長として対峙するべきだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…今日は一段と気温も湿度も高い

 

 

 

外であれば尚更だろう。

 

 

 

こんな日はすっきりとした飲み口のダージリン・ザ・セカンドフラッシュを

 

間もなく戻る寮長の為に

 

 

 

 

 

 

 

18:00 (13ago)6年生 リシャール・エルヴェ・ワーデルセラム アンディーン副寮長・監督生 comments(0)
Lune

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見た

 

 

 

 

 

 

 

寝醒めると物の所在が明確に分かる程に

 

 

月の光が部屋全体を照らしている

 

 

夜更よりも遥かに遅い時刻

 

 


汗をかいた首筋が不快でバルコニーに繋がる扉を開けた

 

 

 

 


月明かりが遠くの木々や建物まで浮かび上がらせている

 

 

 

 

 

 

 


―――青白く輝く月

 

 

 

 

 

 

まるで、この月の様だった

 

 

 

 


視界を塞ぐ程の壮麗さでとても近くに感じるのに

 

 

 

 

掴めそうで掴めない

 

 

 

 

幾ら手を伸ばしても、届かない

 

 

 

 

 


夢など…久く見ていなかったというのに

 

 

 

 


二週間を切ったオープンキャンパスの準備に追われているからと

 

昨年とは違い副寮長としてだからとでも云うのか

 

 

滑稽だな

 

 

 


やるべき事は解っている


でなけば自分も他も此処にはいない

 

どの寮が先に抜きん出るのか

 

誰が何を為すのか見澄ます良い機会だ

 

 

 

 

 

湿気を含んだ空気を吸い再び目にした月は

 

 

一層、青みがかって視えた

 

 

 

 

 

 

 

15:00 (13ago)6年生 リシャール・エルヴェ・ワーデルセラム アンディーン副寮長・監督生 comments(0)
with that relationship


「アンディーン副寮長ご就任、おめでとうございます。
お兄様もさぞやお喜びでしょう?」


「…君もおめでとう、クリームヒルト。
ウェイセンフェルト伯爵のご子息、メルヒオール殿と婚約したんだってね」




つい先程まで穏やかに会話をしていた。

楽しそうに笑っている姿をみてひどく安心したというのに。





顔を上げた時は、床に崩れ落ちる寸前だった。





雪のように白い横顔が

消えて失くなってしまいそうで……冷静さを失った。











「それ以上何も言うな、イグナーツ」


耳にまとわりつく薄ら笑いに吐き気がする。


「クク・・・・・・珍しく感情をあらわにしているから、楽しくてつい…」




一々、神経を逆なでしてくる……だがその手には乗らない。

意味もなく偶然は、お前の場合有り得ない。




「ルチアーノ・アウソニオ・ベラルディ
あの一見軽薄で華やかな雰囲気に皆騙されるが、奴は見かけほど御し易い男ではない」




そんなことは言われなくても分かっている。

――下手に手を出してくるようなら、叩き潰すまでだ。

シルフィードもそれ以外も。

視線を向けると楽しそうな表情とぶつかり合った。







学園外だからこそ解かる事もある


それに対して副寮長が行くこと意味があったと言わざるを得ない。

各寮の統率力や力関係……そして彼女の事……

ローレンツに知らせるべき事は多い。


 
16:05 (13ago)6年生 リシャール・エルヴェ・ワーデルセラム アンディーン副寮長・監督生 comments(0)
Mondnacht


「失礼します、副寮長」

扉の向こうから、聞き慣れた声がする。

ベルンハルト・ヨアヒム・エバール。


程無くしてドアノブが捻られる。

ノックは無い。

手早く部屋に入り、僕に一通の封筒を渡し、足早に去る。


「失礼します」

「ありがとう、エバール」


彼の動きには無駄がない。

だからこそ、僕も彼に信頼を置いている。


ベッドに腰を下ろし、エバールの持ち込んだ書類に目を通す。

主な内容は、これからの副寮長としての公務。

それと…、信頼の置ける生徒に集めさせた他寮の情報。



サラマンダーの副寮長はセドリック・ギャビン・ダウズウェル


シルフィードの副寮長にはルチアーノ・アウソニオ・ベラルディ


ノーム寮はイグナーツ・テオドリヒ・ハイゼンベルグ



順当と言うべきか…



まずは、今週ウェントワース開催されるティーパーティーの手伝い。

遊びで行くわけではない。

副寮長としての初の公務である以上、

ここでの働きが僕やアンディーンに対するイメージに大きく関わってくるだろう。




「さて…」



そろそろ眠りに就こうかと思ったところで、静かに戸を叩く音が聞こえてきた。


気乗りはしないが、何も言わずに真夜中の客人を迎え入れる。


月明かりに照らされた彼の口元は、心なしか、いつもより嗤っているように見えた。
 
13:05 (13ago)6年生 リシャール・エルヴェ・ワーデルセラム アンディーン副寮長・監督生 comments(0)
1/1PAGES