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follow the wind

 

――これで全部……か。

 

軽く再度目を通し、トントン、とテーブルの上で書類を整える。

オープンキャンパスで必要な書類……主に副寮長が作成すべき書類だ。

簡単に書き方、内容をあの適当そうな口調で伝えた後、よろしく、と言って渡された。

 

 

作り終えてから、おかしい、と気づく。

なぜ、私が作っているのか?

 

 

何だかんだ、私も頼りにされていることはまんざらではないのだ。

それは、認める。

 

 

先日のウェントワースでのティーパーティでも……同行させていただけたということは、実力を買ってもらえているということ。

おそらくは……このままいけば、間違いなくシルフィードを任されることになる。

 

いずれ来るその時のために、あえて私に仕事をさせて様子を見ようということなのだろうか?

 

 

書類を持つ手に力が入る。

 

 

 

――届けに行こう。

 

 

 

 

 

副寮長の部屋をノックしようとすると、中から声がした。走り回るような音も。

……賑やかな部屋だ……。

扉を開けると、羽ばたくブレッザとそれを追うシュヴァイツァーがいた。

 

 

「あ、メルクロワ先輩!マスターは外出中なんです!書類ですか?渡しておきますね!」

 

そう言って会釈をすると、またシュヴァイツァーはブレッザの後を追いに部屋の奥へ行ってしまった。

 

 

人にものを頼んでおいてフラフラどこかへ行ってしまう副寮長にはあきれたものだ……。

 

 

 

 

しかし、このシルフィードの威厳と平和を――寮長が築いたこの地位を、守らねば。

それが私にできるのなら、あの方の補佐は……譲らない。

 

 

15:00 (13ago)5年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード寮生 comments(0)
The toss


――忘れていた……?


しかも何事も無かったかのように、探していた副寮長は現れた。
ハァ……あれだけ大変な目に遭わされたっていうのに、当の本人はまるで他人事のように笑って……。

貴方が起こして欲しいと言うから、起こしに行ったというのに!
寝ぼけていたって何ですか!
普通、寝ぼけて人を抱き締めたりしますか!?

シュヴァイツァーならまだしも……。
本当に、何故私にそんなことを頼んだのか、わからない。
副寮長は私に何を求めているのか……おそらく、次期副寮長としての品定めをしているのだろうが……それにしても、あまりに自由過ぎる。

普通に頼んでくれればいいものを、寝ている私の上に乗ってきたり……。
一体何を考えて……!


フォルスブロムにも何か探りを入れられた。
私と副寮長の間に何かあると思われているみたいだが……。


あいつもウェントワースの手伝いに呼ばれたということは、いずれ寮を背負うのだろう。
シルフィードの情報を手にする為に私に近づいたのだとすれば……その手には、乗らない。


他のどの寮にも負ける訳にはいかない。
特に、グラナドス……あんな非道な輩のいるサラマンダーに、エバーグリーンを仕切らせるわけにはいかない……。

 
16:05 (13ago)5年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード寮生 -
Like a wind


明るい陽射しが溢れ、開け放たれた窓から爽やかな春の風が吹き込む。


春ももはや新緑の季節。
外に見える景色は濃い葉の色。

この寮――ザ・ロイヤル・スクール・オブ・ウェントワース 第一寮マグノリア――は、
そんな清々しさに包まれていた。

似ているようで全く違う。同じ年頃の人間が集まっているにも関わらず、なんというか、
ウェントワースにはエバーグリーンにはない賑やかさ……華やかさがある。
少し、面食らってしまう。




――ところで。



私はというと、早朝から災難ばかりで……
新たに我がシルフィードの副寮長に就任したあの方のせいで、気が気ではなかった。


あの後無事に起床し、こちらまでいらしているだろうか?
どこかでフラフラ寄り道でもして、迷子になっていないだろうか?
遅刻でもしようものなら、エバーグリーンだけでなくウェントワース生にも
面目が立たない……大切な時期だというのに!




あぁ、こんなことばかり考えていたら、パーティの準備が間に合わない…
…いけない、私としたことが。




全く……やはり私がしっかりしなくては!
ハァ、副寮長……あとで覚えていて下さいね……!



 
08:05 (13ago)5年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード寮生 comments(0)
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