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...Comes a storm


それは、第一寮サラマンダーのドミトリー・ヴィジット当日の出来事。



『灼熱の炎に呑み込まれ 焼け落ちる偽りの翼 その叫びは虚しく 響き 深き闇を紅く染める』――…

朝、私の元に届いた謎のカード。
それは、不穏な言葉で飾られたものだった。


灼熱の――炎
呑み込まれ、焼け落ちる
偽りの――翼……?


脳裏に浮かぶのは先日の事件、そして、第一寮サラマンダー寮長の顔……。
サラマンダーとは炎を纏いし蜥蜴。
その炎に呑み込まれる翼とは、風を意味する我らシルフィード……?


サラマンダーの連中は、本格的に我々シルフィードに宣戦布告をしようとでもいうのか?



カードを何度も読み返し、そんな予測を立てていたとき、とんでもない情報が耳に入る。


「寮長――べラルディ先輩が、サラマンダーへ向かわれたそうです!」


なに?おひとりで!?
危険だ……胸騒ぎに震えた手でカードを握り、私は彼の後を追った。


サラマンダーに辿り着くと、ひとりふらふら歩く寮長を見つけることができた。
ファグであるシュヴァイツァーも、どうやら心配で走ってついてきたらしい。


全く…なぜ何も相談せず勝手に行動するのだろうか……
ご自分が我々にとってどれだけ重要な人間なのかわかっていないわけではないだろうに。


「招待されたから来ただけだよ」
そう、言ってはいるが……


――おそらく、寮長もサラマンダーを疑っている。
そしてブレッザがあんなことになってしまったのにも、何か関連があることを。

それを、私が見せたカードによって確信したのだろう。


サラマンダー寮長であるグラナドス先輩との対談で、真実を明らかに。
私たちは必ず真相を得る。


これ以上、彼らの好きにさせるわけにはいかない――。

 
16:00 (11ago)6年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード副寮長・監督生 comments(0)
After a calm


――ふぅ…。

寮長から任された仕事を一段落させ、暫し先日のオープンキャンパスのことを
思い返す。


シュヴァイツァーが抱きかかえて来た血塗れのシーツには、
寮長の部屋で発見されたという、無残な姿になった寮長の愛鳥・ブレッザがいた。

その事件の後から、シルフィード寮内はしばらく緊迫した空気が漂っていた。

犯人探しをする者、犯人の疑いを掛け合う者…。



あの日、あの場にいた者は知っている。

第一寮サラマンダー寮長であるグラナドス先輩の制服に、ブレッザの物だろう
羽根が引っかかっていたことを。


――しかし、寮長はまだ確信を持って犯人だとは言えないという。

あれだけハッキリとした証拠があったにも関わらず……。



確かに、彼が犯人でない可能性は十分にある。
だが、あの野蛮な男ならやりかねない……。


……そういえば、寮長も独自にサラマンダーを調査しているようだ。
もちろん、寮長からの依頼でこちらでもサラマンダーはチェックしているが、
それ以外でも私の知らない手紙や書類を目にしていたのは知っている。


いつもと変わりなく、ふらふらと自由に行動しているように見えていたが……。


もうすぐ、サラマンダーのドミトリーヴィジットが開催される。
何か、新しい情報が手に入るかも知れない……。
 
15:00 (11ago)6年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード副寮長・監督生 comments(0)
White feather, such as snow…


一体……何が起きている?
何故こんなことに……。



オープンキャンパス。
客人が大勢みえているというのに、今すぐにも泣きそうな顔で駆けてきたシュヴァイツァーが抱え込んでいたのは、血まみれのシーツ。
「どこか怪我でもしたんですか、シュヴァイツァー?!」
そう聞くと、彼は崩れ落ちるようにその場に膝を付いてしまった。
しかし、泣きながらも必死に説明しようとする。

「ブレッザが……ブレッザが……!!」
その声音に、ただならぬものを感じた。
私は急いていた。つい、口調がきつくなっていたかもしれない。


――血まみれのシーツにくるまれていたのは、寮長の愛鳥……ブレッザの変わり果てた姿だった。
つい先程まで、鳥籠で…寮長の指の上で、おとなしくしていたはずだったのだが……。

寮長は表情を変えなかった。
だが、その瞳は明らかに、何か暗いものを秘めていた。
背筋に震えが走った気がした。


その時、奴が現れたのだ。
第一寮サラマンダー寮長、バレリオ・フランセスク・グラナドス……!!
私は奴の肩付近に白い羽が引っかかっているのをしっかりとこの目で確認した。


間違いない、あれは――ブレッザの羽だ。


寮長に止められなければ、あの時、私は奴に飛び掛かっていただろうか…今思えば私らしくなかった。
しかし、何故……今年度の優秀寮として君臨しているサラマンダーが、こんなことをする必要などないはず…。
それに、こちらから何かを仕掛けたということも……なかったはずだ。

だが現に奴はブレッザの羽を持っていた。
奴なら、やりかねない。


今も瞼の裏に羽ばたくブレッザが浮かぶ。
そして、血に塗れたシーツと、舞い散る白い羽。

寮長は言っていた。 「このままで終わらせるつもりなどない」、と……。
その通りだ、終わらせてはたまらない。

窓を叩く風の音が、今は安らかに響く。

 
11:00 (11ago)6年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード副寮長・監督生 comments(0)
hurricane in his eyes


全く……また仕事を放って居なくなった……!

寮長付きのファグ(お世話係)であるシュヴァイツァーにも訊ねたが、
やはり何も言わずにふらふら出掛けているようだ。
どこへ向かったのか心当たりもない。
いや……あるのだが、沢山ありすぎる。


ここはザ・ロイヤル・スクール・オブ・エバーグリーン、第二寮シルフィード。
シルフィードとは風の精霊を意味する。
そうですね、あの人も風のように気まぐれで、掴めない……。



私はニコライ・イェフィム・メルクロワ。シルフィードの副寮長を務めている。
副寮長は寮長をサポートしながら、次期寮長としてその仕事を学んでいく……の
ですが……、はぁ……、我が寮長はこんな具合で直ぐに何処かへ出歩いてしまう。
結局、この仕事は「また」私が片付けなければならない訳ですね……!



「先日お伝えした件については、私が済ませておきました」
「ああ、そういえば何か言っていたね。ありがとう、メルクロワ。助かるよ」
肩に乗ったブレッザ……彼のペットである鳥を指先で撫でつつ、寮長は言った。
悪びれる様子は微塵もない。

ここまでは日常茶飯事。

外部の人間なら、何故こんな人物が寮長でいられるのか、不思議に思うだろう。
しかし、シルフィード寮生たちは、彼が何故寮長の座に君臨しているのかを知っている。
私達は彼には逆らえない。
弱みを握られているとか、そういった類ではない。
あの笑みに、あの眼に宿る暗い竜巻を知っているから。
「それ」に捕らわれたら、最後……。


「メルクロワ、お茶を淹れてくれないか?」
本当に気まぐれな風だ。
しかし、この学園を取り巻く、薄汚い悪意、怨恨、因縁……各寮の諍いを
生き抜くためには、彼の力が必要なのだ。

今は――。

 
14:30 (11ago)6年生 ニコライ・イェフィム・メルクロワ シルフィード副寮長・監督生 comments(0)
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